農業に革新を!その2

以前のエントリーで農業にはデザインの力が必要だと述べたが、今回はその一端を紹介したい。

まず、下の写真。



トマトのビニールハウス内。すべてトマトである。この状況では病気あるいは病気による全滅を防ぐため農薬を使うことは一目瞭然であろうと思う。病気等による作物の収量減少は、そのまま農家の収入減に直結する。したがってその不安解消や予防措置を理由に農薬を使うのは致し方のないことだ。


現代の市場原理主義と農業の担い手不足などなど、、、
それら農業・食にまつわる負の連鎖が
このいかにも不健全な単一作物栽培と
そのあらゆる弊害を助長している。
僕はそう思っている。
パーマカルチャーの実現は、まだはるか先だ。


農薬の(葉面)散布には↓のような機械を使う。



機械の下部にある50Lタンクに注入した希釈農薬を機械正面のノズルから両サイドに噴霧しながら、トマトの回廊を進んでいくのだ。

この機械、かなり古い型?なのかどうかは知らんが、とにかく設計がダメすぎる。まず、このトマトの回廊だが、もちろんコンクリートで固く舗装されているわけではない。マルチの下は人が歩いて締め固められた土面だ。そしてこの機械はタンク満タンとエンジンなどの総重量で約80kgにはなるだろう。

⚫︎設計がダメな理由その1、<エンジン本体が右側に設置されている>
つまり重心が右側に傾いているのだ。これを締め固められた土面をゆっくり進ませたらどうなるか?もちろん右側に沈んでいくのだ。気をつけていないと機械が転倒しトマトの株をへし折ってしまうのである!エンジンを中央に配置しなかった理由は何なのだろう?

⚫︎設計がダメな理由その2、<接地面が4輪、しかもタイヤが細い>
この設計も手伝って、より右側に沈みやすくなっているのだ。キャタピラーにすべきではないか?せめてタイヤをもっと太くできないだろうか?

⚫︎設計がダメな理由その3、<タイヤストッパーが機械外側に付いている>
このストッパーの出っ張りが、盛り上がっている畝部分のマルチをしばしば引っ掛け、引き裂いてしまうのである。

ほかにも、エンジンの振動でノズルを固定しているネジが緩み、落っこちやすい。そもそもこんな単純な仕事をするだけの機械なのに、パーツが多すぎる。などなど挙げればキリがない。要するにクソすぎる製品なのだ。これを設計したのと、これの製品化にゴーサインしたのは誰なのだろう!?エントリーモデルだからという言い訳は通用しない。そもそもこんなものを売ってはいけない!!
僕は長いことデザインの仕事をしてきたから、こういうとってつけたような設計のプロダクトをみると、かなりムカついてくるのである。これを使うエンドユーザー、つまり農家のことを考えていないと思えてきて、腹立たしくなるのである。

他にも腹立たしくなるこんなもの↓がある。



500L以上入るタンクだ。これも、さっきの機械に付いているタンクも同様なのだが、タンクの外側に目盛が付いているにもかかわらず、外側からタンクにどのくらい水が入っているのか非常に見ずらいのである。タンクを左右に振って、揺れた水面でやっとどのくらい入っているか確認できるのだ。一体誰がこんなものを製品にするんだろう!?なんでタンクを透明もしくは半透明にしないんだろう?そうすれば一目でどのくらい入っているかわかるのに。


僕は自分が重箱の隅をつついているとは思わない。だって、どの業界でも、デザインあるいはイメージ、そしてユーザビリティに力を入れない分野または会社などは、廃れていく運命にあるからだ。実際見渡せば、そうなっているだろう?こういうダメな道具を使っている、あるいは使わざるを得ない状況になっている農業に、どうしようもなく閉塞感や年寄りたちの談合臭さを感じてしまうのだ。


もっと農業に若いエネルギーやデザイン・テクノロジーの力を!さっきの農薬散布機械なんて、ドローンに取って代わればスゴイと思わないか!?トマトの収穫には、スタッフは腰をサポートするメカを装着する。そして、収穫カゴを装備したロボットが、スタッフに自動追従するんだ。


未来の農業は、
そんなアイデアやテクノロジーに満ち
楽しく、明るいものであってほしいんだ。