春
雪解けの大地と 草木の芽吹き
乾いた疾風 北風と南風のにらめっこ
まだ動きの鈍い虫たちと 謳いはじめる鳥たち
清らかな朝の霞と 暖かいベッドの誘惑
新しい旅の予感と 馳せる想い
それは僕のお気に入り
夏
ブルースカイ 積乱雲 トビの鳴き声 小麦畑と牧草ロール
埃っぽい夕立ちのにおい 水たまりにうつる空
けだるい雨の日 雨音とグレーブルーの空
ちいさな町 ささやかなお祭りのあとの 夜の静寂
思い耽るドライブ 過ぎていく風景
それは僕のお気に入り
秋
紅葉と落ち葉 風と木々のないしょ話
ふわふわの毛布 コーヒーとパンと 空焚きのフライパンのにおい
ポロポロつま弾くギターと つたないピアノ 散らかった譜面
畑やハーブ園や庭いじり 詩や曲やもの作り のんびりやりかけの仕事たち
高原に暮らす 小さな羊飼いの女の子 湖と雪をまとった山々
それは僕のお気に入り
冬
モノクローム 星空 凛とした寒さ
小さくて暖かい木の家と 煙突のけむり
庭先の薪小屋と斧 手入れを待つ道具たち
ハリケーンランプの灯りと 薄暗い部屋 雪が残るブーツ
暖炉にゆらぐ炎 ヤカンの蒸気 ヴィオラ・ダ・ガンバとロッキンチェア
それは僕のお気に入り
かなしさや さびしさや むなしさが 心にしみてきたとき
どこか遠くへ さまよいたいとき
そして 勇気と希望を たたえるとき
僕はただ それらを想い浮かべる
そうすれば ちょっぴり心がやわらぐのさ