僕はもう、どこへだっていける。

対地速度800km/h、高度10,000m、外気温-56度。地球はすごい。
そしてこんなところに来れて、こんな景色を見れる人間も、やっぱりすごい。


飛行機に乗り久しぶりに内地へ向かう。北海道に移住し約1年、久しぶりに行く本州に、少なからずの感慨がこみあげてくる。わかっていたことだ。
、、、そう。僕にとって本州はもう「帰るところ」ではなくなった。「行くところ」になったのだ。北海道が、僕の帰るところだ。


10年ほど前だろうか。はじめて聞いてから今まで、僕の心からずっと離れないキャッチコピーがある。


”どこにでもいける。だから、ここにいる。”


UAのあの穏やかで、そして力強い声で語りかける、クルマのTVCMで使われていたキャッチコピーだ。なぜ僕の心に留まり続けているのか、今は、いや、今だからこそ、よくわかる。
この言葉の意味、当時の僕は「(クルマとか飛行機とか船とか、乗り物なんかを使って)このご時世、どこにでも行けるんだから、住む場所は重要じゃない。」という解釈だった。だけど、北海道への移住を決意し、具体的な行動を始め、そしてついに移住を実現したこれまでの自分をふりかえり、今はっきりと確信するんだ。「どこにでもいけるからこそ、どこに住まい、暮らすか、それこそが大事なのだ。」と。


だから僕はもう、どこへだっていける。僕の愛する土地を、やっとみつけたのだから。マイナス20℃の寒さにも慣れたし、怖くて大嫌いだった10何年ぶりの飛行機にも乗れて、度胸もついたことだし、ね。