昨年の台風の爪痕

これは去年の水害によって新たに形成されたワンドだろうか、、、?
写真手前の、法面に倒れている白樺が土砂堆積を促進させ、流れを堰き止め、
そしてワンド化した?う〜む、、、?


 すっかり雪が融けた美瑛川沿いを歩くと改めて、昨年の夏、北海道に3連続で上陸した台風の爪痕がはっきりと残っているのがわかる。内地と比べ、全般的に「確率降水量」が低く見積もられている北海道。近年、ますます巨大化がすすむ温暖化、気候変動時代の水害への適応、河川整備などの対策が、北海道では本州各地に比べ明らかに遅れている・後手にまわっているのではないだろうか?それはひいては、農業、つまり北海道の基幹産業への深刻なダメージに対する予測とリスクヘッジが、まだほとんど整っていないことを意味する。その懸念は恐らく、今年と来年の台風シーズンの結果で明らかになるはずだ。



写真左手が下流側。上流からのシラカンバ流木が、立木に引っかかっている。
なぎ倒され真っ平らなエリアは、おそらく葦などの群落だと思われる。
真っ平らな原因は、昨年の台風と雪の重みによるものだろう。

上の写真のパノラマ。
下手の白樺立木が流されず凌げたのは、上手の葦原が水の力を弱めたため
だと思われる。


 去年の台風で流されてきたシラカンバの流木の残骸が、河川区域の至る所で見られる。根が浅く、幹も脆いシラカンバは、台風や水害の格好の餌食になるだろう。そして、河川に放置されたシラカンバの流木は、流路を変更させ、洲やワンド形成を促進させるだろう。その先には堤防決壊などの被害が考えられるだろうか、、、?河川域にさまざまなビオトープタイプが形成されるのは、寒冷地とはいえ生物多様性の観点からは良いかもしれない。しかし防災の観点からはどうだろう?また、この放置された流木を全撤去するとなると、膨大なマンパワーと時間、そしてお金がかかるのは自明の理だ。


 本州に比べ、これまで台風などの水害にあまり縁がなかったであろう北海道にも、確実に温暖化・気候変動の脅威が迫ってきている。しかし、人間にとっては大きな変動期であったとしても、地球にとっては一瞬の出来事。そして、その地球での暮らし方を人間よりもはるかに熟知している生きものたちにとっては、かすり傷でしかない。「自然のなかに生きていない」人間だけが、いつもいつも、慌てふためいている。