美瑛はもう初秋。朝晩はだいぶ冷えるようになった。コオロギたちが鳴き、ススキが風に揺れ、目立ちたがりのセイタカアワダチソウがなんだかしおらしく咲き、木々たちもちらちらと色を染めはじめてきた。美しい秋。物憂げな秋。想い耽る秋。ドタバタとあっという間に走り去る北海道の忙しく、短い夏が終わり、僕の大好きな季節が巡ってきた。
歳をとってくると、別れがいちいち寂しい。映画や、まして日本のドラマなんてめったに観ないのだけど、ここ最近、何度かの切ない別れがあったからなのか、ふと、、、なんとなく、前から先延ばしにしていた映画を観てみようという気になった。『愛を積むひと』ーーー美瑛町を舞台にしたヒューマンドラマだ。普段見慣れた丘の景色や、町のようすが映画のなかに出てくるなんて、自慢とか、誇らしいといった感情ではなく、ほんとになんだか不思議な気分になるもんだ。そして、、、
この作品を観ながら、あの日、、、僕がここ北海道の美瑛にはじめてやってくるまでの、人生のさまざまな出来事が、次々と物語にシンクロし、そして浮かんでは消えていく。見終わった後も、優しく、美しいテーマが流れるラストメッセージとエンドロールから、いつまでも抜け出せない。この、こんな、やさぐれかけた歳になっても、愛おしく、大切で、かけがえのない宝物が、僕の人生に新しく増えることになるなんて、本当に思ってもみなかった。
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僕は、、、
僕も
愛を積むひとに
まだ なれるだろうか
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こんな素晴らしい物語に出会えたことに、ただただ、感謝。
そして、ここが、大雪山を望み、丘の広がるこの小さな町が、僕の暮らす場所だ。