悲しみの 最果てまで





春になると
いつも
心がそわそわ
しはじめる

春になると
悲しみの音楽をきくと
不穏な予感を纏った 春の風が吹くと
また 旅にでたくなる

遠くへ
ずっとずっと 遠くへ
目的地のない
真実を探す旅に
この世のすべてを 探す旅に

風の神が
その背中で
僕の心を 急き立てる
従えた 流れる雲たちが
僕に語りかける
「さあ おまえも ともにいこう」

誰もいない
誰も僕をしらない
この世の果てまで
悲しみの最果てまで
あてどもなく彷徨う
流浪の旅にでたくなる

いますぐ
ここから
去ってしまいたい
苦しく 愛しい衝動に駆られる

この世の すべての
智慧を悟り
はるか宇宙の
時空の彼岸に
消滅してしまいたい
渇望に駈られる


ここは
地球

美しい
悲しみの星

僕らが
いきものたちが
生まれ
命を紡ぎ
死にゆく星

すべてが 儚く
すべてが 虚しく
そして
すべてが 愛おしい

ああ
この しあわせな
悲しみにつつまれて
永遠に眠りたい

この世のすべてを
宇宙のすべてを
探しにいきたい

僕は
なにひとつ知らず
そして
すべてを知る者
この星の記憶のすべてを
宇宙の記憶のすべてを
あまねく真理を
はじめから
悟り
宿す者

僕は
悲しみの王
慈しみの王
光の王
闇の王

僕は 天使
僕は 悪魔
僕は 救世主
僕は 破壊神

ちっぽけな
ひとりの人間
ちっぽけな
ひとつの命
ちっぽけな
ひとつの星
ちっぽけな
ひとつの宇宙

いつか
菩提樹の下に
辿り着くまで













This poem was inspired by Williams: Main Theme (Arr. Williams): Kaori Muraji [CINEMA] 映画『シンドラーのリスト』 から〈テーマ〉(ジョン・ウィリアムズ/ジョン・ウィリアムス編): 村治佳織「シネマ」
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