令和 ─新元号、発表─



「令和」


初春令月、氣淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香。
初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。

典拠は万葉集。
初めてとなる、日本の古典からの出典。
日本最初の元号とされる「大化」から数えて、248番目の元号。


 素晴らしい元号だと思う。僕はすぐに大好きになってしまった。
 発表から時間が経ち、「令和」という意味と響きが、だんだんと心に沁み渡ってきた。人々のパラダイムとテクノロジー、文化や文明がますます新しく、そして進化していくこれからの時代にふさわしい、賢明で、革新的で、しかし、和を重んじる日本人の慎ましさや優しさも包含し、スマートであり重厚感もある、天晴れで見事な元号だと思う。そして僭越ながらも、僕自身と、僕自身の価値観・人生観にとっても、なにか本当に───、ふさわしい元号だと感じずにはいられない。


 平成の元号が発表・施工された1989年の当時、僕はまだどういうことかもよくわからず、友人たちとテレビ(もちろんブラウン管のアナログテレビ)を見ていた記憶が残っている。あの頃の僕は、それから約31年後の、今のこの2019年が、人々も、人々のパラダイムも、テクノロジーも、世界も、こんなに、このように、これほどまでに進歩・進化するとは、まったく想像していなかったと思う。そして、その僕自身が今現在、宇宙や地球、自然やいきものたちを愛するナチュラリストへと覚醒し、北海道で、パーマカルチャーに根ざしたスローライフ実現への道を歩んでいることも。でも、あの頃の僕はとても若かったが、そのもっと幼い頃から、確かに、自身のその素質と潜在力を心の奥底に瑞々しく湛えていた。そして僕は、その泉を、どんなときも決して枯らさなかった。だから僕は今、ここにいる。そう確信している。




 僕が大事にしている、革命家スティーブ・ジョブズの名言がある。北海道移住への具体的なアクションをはじめた頃から、今も折に触れて想い出す言葉だ。

“Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life. Don’t be trapped by dogma – which is living with the results of other people’s thinking. Don’t let the noise of others’ opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.

あなたの時間は限られている。だから他人の人生を生きたりして無駄に過ごしてはいけない。ドグマ(教義、常識、既存の理論)にとらわれるな。それは他人の考えた結果で生きていることなのだから。他人の意見が雑音のようにあなたの内面の声をかき消したりすることのないようにしなさい。そして最も重要なのは、自分の心と直感を信じる勇気を持ちなさい。それはどういうわけかあなたが本当になりたいものをすでによく知っているのだから。それ以外のことは、全部二の次の意味しかない。”


 そう───。僕は幼い頃から、自分が本当になりたいものを、どういうわけか知っていた。解っていた。そして僕は今──ずいぶん時間がかかったけど──、自分が本当になりたいものへの道を、実際に歩んでいる。





 新元号が施工される5月1日は、北海道ではちょうど(梅ではないけど)エゾヤマザクラが満開になり、草花たちも咲きはじめ、いきものたちがみんな目覚めはじめる頃だ。いきものたちみんなで、皇太子さまの天皇陛下即位と新元号をお祝いし、今上天皇陛下に感謝申し上げる、素晴らしい日になってほしい。

 日本人に生まれ、日本に育ち、本当にしあわせ。ただただ、感謝。
 天皇陛下、万歳。千代に八千代に。


 令和。
 天皇陛下のもと、明るく、新しく進む、希望に満ちた時代になりますように。