ヤチダモと雪虫

8月25日 ヤチダモ
いじけずまっすぐに伸びた、素直な木だ。
なんとなく南国の雰囲気を感じてしまうのは僕だけだろうか?


 ヤチダモ。ハルニレと同じく、僕が北海道にやってきて大好きになった木・特別な木だ。北海道に来た当初は、そもそも谷地ダモというタモがあることも、自生していることも知らなかった。それが、ある日NHKの「ダーウィンが来た」で雪虫特集があり、雪虫の生活環にトドマツとこのヤチダモが重要な役割を果たしていることを知り、それ以来憧れの木になったのだ。それからというもの、フィールドなどを歩くときにはいつもヤチダモを探すようになったものだ。最初の頃はドロノキをヤチダモと勘違いする時期もあった(^^;)


 雪虫は春、ヤチダモの蜜で生活する。夏になるとヤチダモの蜜が少なくなるため、トドマツの幹の地面付近で産卵し、蟻に彼らの巣まで卵を運んでいってもらい、共生する。そして秋、孵化した雪虫たちはアリの巣から出て、産卵のためヤチダモを目指し、雪が来る前に産卵を果たすのだ。そしてヤチダモの幹の隙間で、卵で冬を越すのである。 〜NHK「ダーウィンが来た」より引用〜


 「北の国から」の影響が大きいが、僕は北海道に移り住む前から・動植物に詳しくなるずっと前から、キタキツネなどと同様、雪虫を「北海道のシンボル種」のように捉えていた。その雪虫たちのライフサイクルを番組で初めて知り、とても、、、それこそ涙がでるくらい感動したのだ。なんて壮大な物語なんだろうと。そういうわけで、僕はヤチダモという木が大好きになったのである。、、、ゴメン。トドマツには何故か、あまりグッとこみ上げてくるものがないんだ、、、(^^;)


 将来土地を手にいれた暁には、ハルニレとこのヤチダモ、トドマツも、僕と一緒に根を張ってほしい。あるいは、もし彼らが自生する土地に巡り会えたなら、とてもうれしい。そして、雪虫たちや生きものたちの命の営みの傍で、静かに、穏やかに、地球とともに暮らしていけたら、、、どんなにしあわせだろう。




葉は細長く鋸歯・羽状複葉。
もっと丸っこい葉形をした個体もいるようだが、、、?

8月25日 ヤチダモの木漏れ日の下で

9月27日 久しぶりに見に行ったら
すっかり落葉していた。

9月27日 こうして落葉したヤチダモをみていると、枝ぶりがなんだか毛細血管のようだ。
全体的にちょっと不気味というか異様というか、他の木々たちとは違った
独特な存在感を漂わせている感じがする。

ヤチダモと丘畑 8月25日
ヤチダモと丘畑 9月27日

10月6日 雪虫 今年初確認。
この後ヤチダモに続々と集まっていくようすがみてとれた。

10月9日 ヤチダモの枝の隙間に残る雪虫の亡骸。
おそらく産卵を終えたのだろう。もうすぐ雪が来る。

蟻が亡骸を気にかけるように周りをウロウロしていた、、、ような気がした。

注意深く観察すると、幹や枝の窪みに亡骸がそこそこ残っている。
きっとこのヤチダモのあちこちに、微小な卵をたくさん産んでいるはずだ。
そしてまた、命が引き継がれていく。